第59代理事長 大橋 智洋

プロローグ
「縦軸」と「横軸」を強く意識し
受け継いできた「語りかける力」を以て
子どもたちの前に立ち、ゾクゾクしながら行動しよう
「私たちのひらかた」の実現に向けて
はじめに
心に残っている言葉がある。

未来は、「今、我々が何をするか」にかかっている。マハトマ・ガンジー

そして、私がJCと出会ったとき、すべてを理解できた気がした。

私は2010年秋に青年会議所への入会を勧められ、2011年に入会しました。当初は右も左もわからない中ではありましたが、誤解を恐れずにあえて言えば、当時は枚方JCがこんなに魅力のある、意義深い団体だと想像できなかったというのが本音です。しかし、様々な運動や事業に刺激を受け、多くの先輩諸兄の背中を追いかけるうちに、私は青年会議所運動の虜になりました。そして今、なぜ枚方には青年会議所が必要であるのか、メンバーの先頭に立って改めて考え、あるべき姿を地域社会に投げかけていきたいと思うようになりました。
1962年、『つねに団結の力により創造者としての勇気と実行力をもって地域社会の進歩発展に貢献する』という趣旨のもと枚方JCは、全国で221番目に設立されました。 設立当時、私も今いる現役メンバーも生まれていません。しかし、この事実はメンバーなら全員知っているのはなぜでしょうか。それは、枚方JCを卒業された先輩諸兄が情熱をもって粘り強く、途切れることなくその時代の現役メンバーに語りかけてくださってきたからです。「語りかける力」により、私たちはJCという名の「縦軸」でいつの日もつながってきました。
先輩諸兄のおかげで枚方JCに備わってきた、こうした「語りかける力」を、私はこれまでにも増して「横軸」として、これから地域で、枚方で育っていく子どもたちに向けて発揮していくべきではないかと考えます。そして、そのことこそが、未来に向けて枚方JCの存在意義にも直結するものと確信しています。子どもたちから、また次の子どもたちへ。私たちのもつ「語りかける力」で、幾重にもつなぎ紡いでいく。いつかその子どもたちが成長し経済人となった暁に、地元を意識し私たちの「縦軸」に参画してもらえることをイメージし強く願いつつ。
先輩諸兄から受け継いできた思いを次のJACYEEに引き継ぎ、枚方JCが地域に求められる唯一無二の存在としてあり続けるために、今こそ青年経済人としてJCの「縦軸」を強く意識しながら、その力を未来のために「横軸」の中で生かしていこうではありませんか。この指止まれと意欲を示した子どもたちだけを集めて事業を行うのではなく、私たち自身が地域や社会教育の場に出て、ひとりでも多くの子どもたちの目の前でゾクゾクしつつ行動しようではありませんか。青年会議所がこれまで培ってきたつながりを駆使し思いある大人の力を結集して、子どもたちの新たな居場所を創り、我がまち枚方への帰属意識を育みたい。長く濃密な歴史の中で磨かれてきた「語りかける力」、私たちのみに与えられた「語りかける力」を強く信じて。そう未来のために。
理屈抜きの理屈でつながる会員拡大
全国の青年会議所では会員数の減少が叫ばれて久しい中、昨年、枚方JCでは100名拡大を実現し、「数は力、質は強さ」を一定具現化したと言っても過言ではありません。とはいえ、卒業制度を採り青年の運動をおこなう青年会議所に終わりはありません。拡大運動を止めた瞬間から衰退が始まりそのことは、設立の意義や歴史を語りかける相手がいなくなるということ、すなわち「縦軸」が消滅することを意味します。そしてそれは「横軸」の担い手をも失うことにもなります。
同時に、私たちがなぜ運動の担い手でありうるのかについても考えなければなりません。私たちはJAYCEEとして、自分たちのもつ人的・物的資源を、地域に出て子どもたちのために惜しみなく投入する価値観を確立させる必要があります。どんな目先のメリットよりも、寸暇を惜しみ物心ともに地域の子どもたちに注ぎ込む運動をおこなうことができる、このことが会員拡大における理屈抜きの理屈であり、最大のメリットだと感じてもらえるような拡大運動をおこなわなければなりません。結果として、私たちが運動の担い手であるという認知を高めることになっていきます。
ただし、いかに新たな価値観の確立を掲げたとしても、メンバー一人ひとりに個としての魅力がなければ、地域に届くことはありません。また、メンバー相互がバラバラに各々の考え方で行動していれば、JCという塊の運動として地域社会に伝播することはないでしょう。個性を磨き、同じ考え方の塊を創ることで、私たちの運動は一過性のものではなく、地域社会に深く浸透することとなります。一旦は入会したものの、何らかの事情で運動に参画できなくなったメンバーのサポートを行うためにも、メンバーの魅力を向上させ、交流等を通じてJCという一丸となった集団をめざします。
恒久的世界平和への第一歩として国際事業・民間外交と地域間交流
一昨年、枚方JCと台湾彰化國際青年商會は姉妹締結50周年を迎えました。ただ、50周年といえども、一年一年の積み重ねであり、先輩諸兄、現役メンバーのたゆまぬ交流の結果としての今があります。昨年にはGYL育成事業と国際交流事業を同時に展開し新たな関係の端緒を得ることができ、JCのみならず、それぞれの地域の学生を巻き込み、さらなる市民の運動へと昇華しました。ここで改めて昨年までのGYL育成事業を検証し、LOM同士の交流に加え、市民や学生同士の交流の流れを定着させ、交流と育成を融合させる事業にチャレンジします。そして、国際交流によって、これまで培ってきた友情の普遍性を確認し合うとともに、今年度もメンバー一人ひとりがそれぞれの文化、歴史、伝統を意識しながら、LOMとして交流の意義を深く実感できる姉妹関係を継続します。
また、私たちが本当に恒久的世界平和を望むのであれば、とりわけ若い世代を新たな国際交流の場面に導くことが求められます。新たな学生交流事業に参画し、地域の学生の意識を変革する端緒を創造します。
国内においては、中村JCとの交流が45周年を迎えました。昨年は中村JCも参画されている「しまんと市民祭」に出席し、ここ数年枚方まつりに参加していただいている中村JCとの絆やこれまでの交流の積み重ねを強く感じることができました。毎年のようにメンバーが変わりゆく中にあっても、この唯一無二のつながりをより一層揺るぎないものとするために、50周年に向けて今日まで続いてきた友情と交流の歴史を受け継ぎ、また次世代に継承し、それぞれの地域の発展につなげていかなければなりません。先輩諸兄が行政をも動かしてきた交流の意義を入会歴の浅いメンバーにも実感してもらうべく、多くのメンバーでの実りある交流を図っていきます。
子どもたちに語りかける
今、憲法論議が盛んになってきています。国家として考えなければならないこと、そして国民として為すべきことなど大切なテーマはたくさんあります。ただし、議論を大きく捉えるよりも、私たちが地元枚方の青年経済人として地元の子どもたちに伝えられることは何かを突き詰めていく必要があります。大阪では観光・宿泊に関する新税の議論がなされ、枚方市を始め多くの自治体で債権回収条例が制定されるなど、税に対する議論が少しずつクローズアップされています。青年会議所に集う青年は、地域社会で働くことにやり甲斐を感じながら経済活動をおこない、市民としての納税義務を果たしています。私たちは青年経済人として、地域の中で働くことの意義や社会を支えるべく税を納めることの重要性を子どもたちに伝え、子どもたちの健全育成に貢献していかねばなりません。子どもたちが、社会の中で与えられた役割を果たすことを学ぶことなく成長してしまえば、地域社会にとっては大きな損失となるだけでなく、さらに次世代にも負の循環を引き起こすこととなります。私たちが培ってきた「語りかける力」によって、自らの責任を自覚し、行動が伴った次世代の担い手を育成していきます。
また、税というものを考える際に、市民一人ひとりの納税意識も重要ではあるものの、地元枚方の成長を阻害している仕組みや要因を取り除き、税収増からさらなる発展に向け、明るい未来を子どもたちに残していく前向きな議論を先導しなければなりません。青年経済人として枚方の未来の在り方を調査研究してまいります。
子どもたちの居場所を創り、それがJCの居場所にもなる
地域社会では、地域コミュニティへの参画率が年々低下し、担い手不足により体育祭や夏祭りなど地域行事を中止する地域も出てくるなど、人と人とのつながりが希薄になりつつある現状があると言われています。2020年にはプログラミング教育が義務教育の中で必修化される予定となっているなどIT化の波は止まるところがありませんが、一方で子どもたち自身、大人と関わらずともネットを叩けばわからないことは全て解決でき、誰とも関わらずとも一人で育っていけるかのような感覚を持つようになりつつあるのかもしれません。しかし、大人になってから見る景色は必ずしもそういうものばかりではありません。子どもたちは本来、地域の中で多くのぬくもりに包まれて感受性を刺激され、つながりを感じながら地元や地域への帰属意識や他人の気持ちを学び成長していくものではないでしょうか。
ただ、子どもたちは望んでも自ら環境を創ることはできません。環境を創れるのはあくまで大人しかいないのです。そして、枚方JCがそこに問題意識をもつのであれば、私たち自身がその環境を創っていくべきなのです。
私たちには、これまで長い時間をかけて築きあげてきた多くの温かいつながりがあります。先輩諸兄が産み育ててくださり、時代を越えて大切に受け継がれてきたつながりです。 このつながりによって、大人の力を集め、地域で子ども食堂を開設し、子どもたちの我がまちへの地元意識を醸成してまいります。
また、青少年スポーツの分野では、これまでから子どもたちの健全育成に尽力されてきた方々がおられ、社会教育の一助となってきました。私たちは地域に住まう青年として、こうした場面にも目を向け、広く居場所創りとすべきだと考えます。学校や地域とは違う角度から社会教育の強化を図り、子どもたちの健やかな成長につなげていきます。
こうした居場所が私たちの居場所にもなっていくものと思います。これまで推進してきたロゴキャッチについても、子どもたちの居場所に私たちがこうしたツールとともに入っていくべきではないでしょうか。子どもたちの居場所と私たちの居場所を結んでいく取り組みをおこないます。
枚方JCとしての枚方フェスティバル協議会への関わり
枚方フェスティバル協議会は2004年に「発信しようわがまちの誇り!」という理念を掲げ設立されました。設立から様々なチャレンジをおこない、「まつり」という営みを通じて市民一人ひとりが枚方の文化・歴史・伝統に触れながら、誇りあるまちとしての枚方を発信するという目標に向けて各参画団体と連携して取り組みを進めてきました。2014年には10周年を迎え、「定着の10年から発信の10年」という理念に基づき、「発信」へとシフトチェンジしている中で、今一度、枚方JCにとって発信しなければならない枚方フェスティバル協議会やその事業とは何かを具体化する必要があります。また、同時に枚方フェスティバル協議会の事業とは枚方まつりだけでなく、全ての参画団体による事業だということを理解し、本年も各参画団体に対し、困難があっても積極的に運営に対する協力を働きかけ、協議会のさらなる発展に向け力を結集し、枚方の魅力向上へとつなげます。
枚方フェスティバル協議会の主催事業である「枚方まつり」においては、年々来場者が増え、協議会の単なる一事業という位置づけではなく、市内外の方々に枚方の魅力を存分に発信する素晴らしい機会となっています。ただし、大きくなればなるほど運営面には課題が発生するため、昨年はボランティアの在り方を改革し、枚方JCの担いが明確化されました。これによりメンバーの責任が増した分、やりがいも増大したものと考えています。これをさらに発展させ、より一体感をもった運営を行い、市民にとって郷土愛を育み、市民のまつりとしての認知を高めたいと考えます。また、より多くの市民を巻き込むために、資金調達については新たな手法を模索します。そして、枚方まつりに対しては、枚方フェスティバル協議会の事務局として、さらには枚方JCそのものとして関わり多くの市民に向けた発信をおこなうとともに、未来志向に立って枚方中の子どもたちがこぞって集い地元を感じられる居場所としてのまつりとなるよう、新しい取り組みにもトライしていきます。
攻めの広報をおこなう
私たちがおこなう事業はイベントやボランティア活動ではありません。あえて言えば、誰にでもできることではなく、青年会議所にしかできない運動でなければなりません。
私たち自身が運動の担い手であると同時に、多くの地域資源や志ある青年を巻き込む渦の中心で、運動を拡散していく必要があります。
そのためには、地域社会へのさまざまな形での情報発信や情報伝達が必須です。いかに素晴らしい事業をおこなっていたとしても、市民や地域の方々に伝わらなければ、やっていないのと同じであるという認識のもとで、内向きの広報ではなく、足で稼ぐことも厭わず、LINEやInstagramなどの最新の手法も活用していく「攻めの広報」活動をおこなうべきです。
単なる広報では、私たちの活動をお伝えし、知ってもらうことに止まります。私たちがめざす「攻めの広報」は、知ってもらった相手方に私たちとともに運動をおこなう側に来てもらう広報です。有意義な事業を実施しつつ、「攻めの広報」をおこない、強力な会員拡大の推進や地域社会でのプレゼンスの確立につなげるべきです。
従来からおこなってきたホームページや広報誌での周知のみならず、ユーモアやアイデアをもってSNS等の有効活用を図るとともに、各種メディア媒体にもアプローチをおこない、あらゆる地域資源に面と向かってアタックし、私たちの市民意識変革運動を枚方全域に届けていきます。
やりたいことをやるために、プロセスを大切にする
世間では組織運営の在り方が多様化していると言われています。最近では、上下関係のない組織運営やルールに囚われない組織管理なども目にするようになっています。
しかしながら、本来、人と人とが信頼関係をもって組織を構成し、外で大きな仕事を為し遂げるためには、例え家庭内であっても一定の決め事が必要不可欠です。
枚方JCがこれだけ長きに亘り、組織として維持発展してこられたのは、厳格な規則に基づく組織運営があってこそだと考えます。
また、単年度制を採用しながらも地域社会からの一定の負託を得られてきたのは、徹底したガバナンスの確立、そして規律的な財政運営があったからこそだと確信しています。
これらは時代を越えて先輩諸兄から引き継がれてきたものであり、「青年会議所の意思」と言えるものです。成果を出せば、やり方は何でもありという運営では決して大きな仕事を為すことはできません。プロセスを大切にすることが、結論はどうあれ内外からの信頼を得られる基礎となります。やりたいことをやるためには、まず土台を作らねばなりません。 組織のあり方も時代とともに変化が求められていますが、変えてはいけない「青年会議所の意思」については改めて明確にしておかねばなりません。
受け継がれてきた「青年会議所の意思」をLOM全体で共有することにより、メンバー一人ひとりが、枚方JCへの帰属意識を強くすることにつながるものと考えます。自分たちが、枚方JCの一員であるということはどういうことであるのかを考え、JC運動以外の時間についても、地域の模範となる社会人として自らを律していかねばなりません。それをまだ見ぬメンバーに引き継ぎ、地域社会へと示していくことが今の時代を生きる私たちに課せられた責務です。
近年は事業が増加し、地域の事業とLOM事業、LOM内でも複数の事業が重複する場面も出てきています。地域のニーズが多様化している今だからこそ、LOM運営を機動的に総括する体制が求められています。それがひいてはメンバーのサポートにもつながり、LOM全体を強くすることに直結します。担いを平準化することにより、私たちの運動をより地域に届けられるよう、プラットホームとなる組織体制を整備します。
さらに、最近では日本全国で災害が頻発しています。2018年度には枚方JCが災害ボランティアとして地域社会に出ていく場面を創出していただきました。そうした実績から改めて行政や市民からの要請もあり、これからはこうした社会貢献も青年として積極的に関わっていくべきです。他人事ではない災害に対して、私たちなりに理解や知識を深めるとともに、復旧支援の取り組みをおこないます。
むすびに
今、世間にはいわゆる評論家が溢れていると感じます。ネットを叩けば、他者のやることに意見や評価はすれど、自分自身は何もしない、そんな人たちが増えているのではないでしょうか。自らを安全なポジションに置きつつ他人を攻撃する、言わばまさに、一億総評論家状態です。私たちは行動する青年として、こうした風潮の真逆を行かねばなりません。他人を批評する前に、自らを見つめ直し、自分たちにできることは何かを突き詰め、そして実践するのです。
私は入会以来8年間、会員拡大運動に取り組み、40人余りの若者にJCの門をくぐってもらうことができました。いつも意識してきたことがあります。自宅で何気なくインターネットに向き合う時間を、地域のために、市民のために、枚方のために考え行動する時間にしないかと。同じように酒を酌み交わすならば、他の誰かに不足を感じてどうこう言うよりも、自分が前向きに変わろうとして議論しないかと。未来を見据えながらゾクゾクするような運動を起こし、ただひたすら行動することによって子どもたちに伝え紡いでいく。子どもたちの前に立ち、語りかけること、それが青年の採るべき道ではないか。

取るに足りないことかもしれない。しかし、「行動すること」そのことこそが重要なのだ。
マハトマ・ガンジー
地域に課題があるのなら、まず自らが率先して行動する。そうして自らが変わったその先に、新しい未来が拓けるに違いない。子どもたちとともにある未来を切り拓くために、今こそ、私たちが受け継いできた「語りかける力」を子どもたちのために使って全員で行動しよう。地域で青年に育てられた子どもたちが、いつの日か意気に感じて地元枚方のことに帰属意識をもち、「私たちのひらかた」と、所有格をつけて呼んでくれることを強く念願して。